※調査や研究によって対象者等が異なるため、結果を単純に比較することは難しく、解釈には留意が必要です。

後遺症の頻度(発症割合)

WHO(世界保健機関)は、これまでの研究によると新型コロナ感染者の約6%に後遺症が発生するとしています。

引用:

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A Q4
COVID-19 epidemiological update – 24 December 2024:
https://www.who.int/publications/m/item/covid-19-epidemiological-update---24-december-2024

また、東京iCDCリスクコミュニケーションチームが実施した、都民1万人アンケート調査によると、新型コロナの陽性判定の経験がある人のうち、新型コロナに感染してから2か月以上の期間、後遺症を疑う症状があったと回答した人の割合は、令和5年2月調査時点で25.8%、令和6年2月調査時点で23.4%となっています。

(2024年:n=3,158、2023年:n=2,040)

グラフ:後遺症を疑う症状の有無について、割合を示した棒グラフ。2023年と2024年の調査結果を比較している。
(新型コロナ陽性判定の経験がある方に)
新型コロナに感染してから2ヶ月以上の期間、後遺症を疑う症状がありましたか。

出典:東京iCDCリスクコミュニケーションチームによる都民1万人アンケート調査結果(令和6年2月実施)

後遺症の症状

都立病院のコロナ後遺症相談窓口※1に寄せられた相談では、相談者が訴える症状は倦怠感や嗅覚·味覚障害など、様々であり、1人の相談者が複数の症状を訴えるケースもあります。
また、オミクロン株では咳嗽※2が多いなど、変異株(感染時期)により、訴える割合に差異がみられる症状もあります。

※1 令和3年3月から令和6年3月まで開設
※2 咳嗽(がいそう)=咳(せき)のこと

(オミクロン株:n=2,039、デルタ株以前:n=3,857)

グラフ:都立病院のコロナ後遺症相談窓口において相談者が訴える症状の割合を示した棒グラフ。倦怠感や嗅覚障害などの症状ごとに、オミクロン株とデルタ株以前を比較している。
相談者が訴える症状
出典:

第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日)
令和3年3月30日から令和4年4月30日までの相談データ

症状の持続期間

新型コロナと診断され、入院歴のある患者の追跡調査では、診断から12か月経った時点でも、全体の30%に何らかの症状がありましたが、いずれの症状についても、時間の経過とともに症状がある方の割合が低下する傾向が認められています。

(診断3ヶ月後:n=935、診断6ヶ月後:n=865、診断12ヶ月後:n=724)

グラフ:倦怠感や集中力低下などの代表的な症状がある方の割合について、時間の経過による変化を示した棒グラフ。症状ごとに新型コロナの診断3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の症状があった方の割合を比較している。
代表的な症状の経時的変化

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19 ) 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第3.0版)」

年齢、既往症(基礎疾患)、新型コロナ罹患時の重症度、変異株との関係

後遺症を発症する確率や症状が持続する期間などは、年齢や性別、既往症(基礎疾患)の有無、新型コロナ感染時の症状の重さ、変異株(オミクロン株等)に関係があることも指摘されていますが、新型コロナに感染したすべての方に、症状が長引いたり現れたりする可能性があります。
都立病院のコロナ後遺症相談窓口には、若い世代や基礎疾患のない方、新型コロナ罹患時に軽症以下だった方からも相談が寄せられていました。

グラフ:コロナ後遺症相談窓口に相談した方の年齢構成を示した円グラフ。オミクロン株とデルタ株以前のグラフを並べて比較している。
年齢構成
グラフ:コロナ後遺症相談窓口に相談した方の既往症の有無について、割合を示した円グラフ。オミクロン株とデルタ株以前のグラフを並べて比較している。
既往症(基礎疾患含む)の有無
グラフ:コロナ後遺症相談窓口に相談した方の新型コロナ罹患時の重症度について、割合を示した円グラフ。オミクロン株とデルタ株以前のグラフを並べて比較している。
新型コロナ罹患時の重症度
出典:

第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日)
令和3年3月30日から令和4年4月30日までの相談データ

日常生活への影響

東京iCDCリスクコミュニケーションチームが実施した都民1万人アンケート調査によると、後遺症を疑う症状があった人のうち、後遺症による日常生活への支障が「非常に/ややあった」と回答した人の割合は、約85%となっています。

(n=739)

グラフ:後遺症の症状による支障が、日常生活にどの程度あったか、その回答割合を示した棒グラフ。
後遺症の症状は日常生活にどの程度支障がありましたか


後遺症となって、どのような困りごとや影響があったか、という質問では、「どこに相談すればよいかわからなかった」(26.4%)、「症状が治るのか先が見えず、不安でふさぎがちになった」(23.8%)、「症状にあう病院が見つからず、受診できなかった」(21.4%)の順に回答割合が高くなっています。
仕事·学業への影響については、「後遺症のために仕事·学校を休んだ」(13.8%)、「仕事・学校を休んだことはないが、仕事・学業に支障が生じた」(12.5%)となっています。

(n=640)

グラフ:後遺症の症状による、日常生活での困りごとや影響について、その内容ごとに影響等があったと回答した人の割合を示した棒グラフ。
(後遺症の症状による日常生活への支障が非常に/ややあった方に)
後遺症となって、日常生活において、どのような困りごとや影響がありましたか。

出典:東京iCDCリスクコミュニケーションチームによる都民1万人アンケート調査結果(令和6年2月実施)

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